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核家族の逝く末

 高齢化社会の激増に伴い、それに比例して老老介護が増えています。老人福祉施設を利用できれば問題が少なくなりますが、事情があって施設の利用が困難な場合は老夫婦のどちらかが介護することになります。  また、親子の関係で親が老いて子が介護する家庭も珍しくありません。老人福祉施設の少ない昔は、どこの家庭でも年老いた両親の面倒を子ども夫婦が見るのが当然の習わしでした。  しかし、核家族が当り前の時代となった現在社会では、親から子に、子から孫に継承していくことが無くなり、親は親、子は子という家族関係しかなく、お互いに家庭の事情が伴って親子関係すら希薄になり、親の現状を知る由もない子ども夫婦などが激増しています。  たとえ娘がいたとしても、遠方に嫁いでいるため介護したくても困難な状況におかれている場合もあるでしょう。そんな核家族の実態が、誰もが老老介護に至る悪循環に陥っているのです。  人は誰もが必ず老い、確実に死を迎えます。そのこと自体には誰も何一つ疑う余地は無いでしょう。でも、そこに至る過程には人それぞれに複雑な事情が絡み合い、老いかた死にかたは個々に皆違います。  核家族は、親から子に、子から孫に継承していく順送りの社会を断ち切って、いつか地獄のような老老介護の日を迎え、苦しみ抜いて逝かなければならない恐怖の社会を作ってしまっているのです。  近年では老老介護に耐え切れず、不幸にして殺人にまで至ってしまうケースが後を絶ちません。これは他人事では済まされないのです。人は誰もが必ず老い、確実に死を迎えるのですから…。